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品川技報 第58号 (2015年)

品川技報
第58号(2015年(平成27年))

目次

巻頭言

技報創刊60周年

取締役 常務執行役員   飯田 栄司

 

特別寄稿

品川技報60年間における耐火物技術の変遷

小形昌徳

<要約>

 品川技報の発刊は今から60年前,1954年である。日本の戦後の高度経済成長もこの頃に始まった。品川技報の最初の10年間は欧米からの技術導入に関する紹介が多い。その後,鉄鋼をはじめとするユーザーのプロセスの発展に対応して耐火物技術が急速に発展し,経済成長の始まりから約30年後には第 1 回耐火物国際会議を日本で開催した。現在の耐火物製品の多くは,この時点でその原型が開発されている。しかし,その後の30年間にも,高耐用化,高機能化,あるいは環境対応化を進めた新しい耐火物製品が次々と開発された。連続鋳造のようにユーザーのプロセス自体が発展している分野だけでなく,技術的に成熟したと思われていた分野でも新たな進展があった。品川技報の60年間を振り返ると,最初の30年間はユーザーのプロセス変化に対応するための新材料・新施工法の開発に追われた時代であり,その材料・施工法に新しい価値を創出してきたのがこの30年間であった。

 

報文

鋳片品質改善効果のあるブルーム・ビレット用浸漬ノズル

新妻宏泰,大川幸男,井上慎祐,松長隆行

<要約>

 浸漬ノズルの構造は,モールド内の溶鋼流動パターンを制御し,鋳片品質に大きな影響を与える。ブルームやビレット連続鋳造機を対象とし,モールド内の溶鋼流動パターンを最適化できる構造を水モデル試験,CFD計算によって検討した。ノズルの側面に“屈折型吐出孔”を有する浸漬ノズルは,モールド内に安定した旋回流が発生することが判明し,このノズルを丸ビレット連続鋳造機にて実機テストの結果,鋳片品質の向上が認められた。内管にモーグル構造を有し,ノズル下端内径を拡大した“逆テーパー + モーグル”ノズルでは,吐出流の偏流が解消され,沈みこみ深さも軽減された。

タンディッシュ流し込み材スラグ浸透層の特性評価

木村由美,小松原清行,浅川幸治

<要約>

 タンディッシュ流し込み材の主な損傷要因の一つにスラグ浸透がある。流し込み材や吹付け材を浸透してきたスラグとの反応によって形成されるスラグ浸透層は亀裂・剥離,マグネシア吹付け材との焼付きを引き起こすと考えられている。そこで,スラグ浸透層がどのような影響を与えているのか,実機使用後サンプルの解析,スラグ浸透層の再現および特性評価により調査した結果,スラグ浸透層が流し込み材の損傷要因に与える影響は,背面との物性差による剥離が主体であると推定した。

高炉樋用不定形パーマライニングの改善

中坊一也,飯田貴志,北村匡譜

<要約>

 高炉樋用パーマライニングは近年不定形化される事例が増えている。不定形化においては耐食性,耐スポーリング性および強度の確保が課題となる。材料面ではパーマライニング用のケミカルボンドキャスタブルを開発した。高耐食性,高耐スポーリング性,高強度を示し,パーマライニングに適した材質となっている。さらに,構造面では乾式振動成型材を活用した構造を適用することで,亀裂の抑制,鉄皮保護に優れた効果を得ることができる。

セメントロータリーキルンの最高温部用クロムフリーれんがの開発

伊賀棒公一,戸田義大,飯田正和

<要約>

 セメントロータリーキルンの最高温部(真焼点)用として高耐食性クロムフリーれんがELK-11CWを開発した。高温における高耐食性は原料組成や粒径,焼成条件の適正化によるマトリックス組織の制御によって得ることができた。 ELK-11CWの優れた耐食性は侵食試験と実機使用で検証された。セメントロータリーキルンには産業廃棄物起源の高カロリー燃料の使用によって不安定な燃焼が生じ,真焼点ではれんがが一時的,局所的に高温に曝される場合があるが,ELK-11CWを使用することで安定した残厚が維持できると考えられる。

耐剥離性に優れる鍋用Al2O3-MgO-Cれんが

土井菜保子,冨谷尚士,飯田敦久,神山啓太

<要約>

 溶鋼鍋の激食部である湯当たり向けに耐剥離性に優れるAl2O3-MgO-Cれんがを開発した。気孔率の低減および気孔径の微細化によりれんが内への溶鋼の侵入を抑制し、実機において良好な結果が得られているので紹介する。

 

製品および実績紹介

12年以上使用されたコークス炉ドアブロックの特性

西口英邦,佐川和貴,山下恭平,飯田正和

<要約>

 コークス炉で12年以上にわたって使用された表面に釉薬を塗布したドアブロックの使用後を回収し,評価した。長期にわたる使用にも関わらず表面の平滑性は維持されていた。内部に亀裂は観察されたもののしっかりした組織が維持されており,ブロックの安定性が示された。当社のブロックは釉薬塗布していない不焼成品も同様な組織の安定性を示すと考えられる。

コークス炉各種プレキャストブロック用キャスタブル

佐川和貴,東川夏海,山下恭平

<要約>

 コークス炉には多くのプレキャストブロックが使用されているが,使用部位により要求特性が異なる場合がある。これに対して,当社は使用原料比率および粒度構成,バインダーの最適化により,それぞれの要求特性に対応する各種プレキャストブロックをラインナップしている。本報では,各種プレキャストブロックの特徴と適用例を紹介する。

タンディッシュ用ドライコート材

小松原清行,東川夏海

<要約>

 鋼の品質向上とタンディッシュ内張り材の延命を目的に,タンディッシュ用ドライコート材を開発した。開発品の施工方法および特徴について報告する。

ノンカーボン質モールドパウダーによる鋼品質の向上

山下翔悟,鈴木貴之

<要約>

 カーボンピックアップ(浸炭)の低減が不可欠である鋼種の鋼品質向上を目的に、炭素原料を使用しないノンカーボン質モールドパウダーを開発した。本報告では、ノンカーボン質モールドパウダーの極低炭素鋼、高酸素鋼、ステンレス鋼における適用効果を紹介する。

セメント用塩基性れんがの特徴と使用実績

戸田義大,小宅民淳,伊賀棒公一,森孝一郎

<要約>

 日本国内のセメントキルンでは,操業条件が過酷化し内張りれんがの耐用が低下する傾向にある。当社で製造しているセメントキルン用マグネシア-スピネルれんがは過酷な条件下においても優れた耐用を示しており,安定操業の達成とコストメリット創出に貢献している。本稿では適用ゾーンごとにれんがの特徴と使用実績を紹介する。

 

関連会社製品紹介

株式会社セラテクノ
「煙が出ない,炉底電極にも適用できる電気炉炉底用焼付補修材」

高倉雄一,羽崎正憲,原 真也

<要約>

 電気炉炉底の補修にはドロマイト,マグネシアなどの塩基性材料が焼付材として使用されている。当社では,焼付時に発煙がなく接着性に優れさらに導電性があるので炉底電極の補修にも適用できる補修材を開発した。実炉において高耐用で安定操業に寄与したと好評を得ているので紹介する。

イソライト工業株式会社
「高耐熱・低熱伝導率化したセラミックファイバーボード」

大野 健,宗宮達樹,神尾哲治

<要約>

 イソライト工業は,セラミックファイバーを繊維化する過程で副次的に生成するショット(非繊維粒状物)の含有率を低減したセラミックファイバーを原料とすることにより,低熱伝導率化した1260℃級セラミックファイバー質断熱ボード(1260SIボード)を製品化している。今回,さらに高い耐熱性と低熱伝導率を達成するため,1400℃級セラミックファイバー質断熱ボード(以下,1400SIボード)を開発した。1400SIボードは溶鋼容器の裏張りやパネルヒーターとして十分な断熱効果を発揮し,各種設備での省エネルギー化に貢献することが期待できる。

Shinagawa Refractories Australasia Pty. Ltd.
“Product Selection for Alumina Calciner Applications”

Nathan LEICHT

<要約>

 Calcination is the final step in the production of smelter grade alumina from bauxite and modern design alumina calciners use the fluid bed calcination process. While there are many different refractory materials used throughout a calciner, this paper will focus on the monolithic materials used in the main calciner, cyclones and ductwork of a fluid bed calciner.