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品川技報 第48号 (2005年)

品川技報
第48号(2005年(平成17年))

目次

巻頭言

創業130周年記念号によせて

代表取締役社長 西尾英昭

 

特別寄稿

中国における鉄鋼用高性能耐火物の発展

鐘 香崇,葉 方保

<要約>

高度な冶金工学を採用することで、この25年の間に、鉄鋼生産量が急激に増加した中国では、耐火物産業が、その生産能力、品質の改良、高性能な新製品の 開発において、急速に発展してきている。中国では、国内に豊富に埋蔵されているマグネサイト、ボーキサイト、一次黒鉛を主原料として高性能な高機能耐火物材料 が、開発されてきています。具体的には、カーボンボンド製品、高純度酸化物製品、ボーキサイトベースの低クリープ、高強度ハイアルミナ煉瓦、低セメント、超低 セメント、無セメントキャスタブルなどの耐火物材料が上げられます。それらの材料は、使用性能に重要な進歩もたらすという理由で、高炉、熱風炉、2次精錬炉、 連続鋳造などで使用されています。

中国における製銑用高性能耐火物の応用と開発

孫 加林,洪 彦若

<要約>

中国では、Si-Al2O3-SiC および Si-Al2O3-Si3N4煉瓦が、“可塑性金属相含有酸化物-非酸化物複合材料”という概念を基に、新たに開発された。それらは、 その価格性能比の高さから高炉のライニングとして広く適用されている。Si3N4含有吹き付け材、樋キャスタブルおよび、マッド材も優れた物質特性と、耐食性を、広く 示している。またJiaobo石のような現地の安い鉱物を活用して、熱風炉の低クリープ煉瓦が開発された。

報文

日本の不定形耐火物の現状

窪田行利

<要約>

日本における不定形耐火物の生産は、耐火物全体の生産量の64.5%に及ぶ。現在の国内不定形耐火物の最高生産量は1974年に記録した94万6千トンである。

それより以前、不定形耐火物の技術は、急速な発展期にあった。1991年以降の経済の低迷期にあっても、不定形耐火物は様々な分野で開発改良が進められ、耐火物 原単位の低減と作業環境の改善に貢献してきた。1990年以降には、セルフフローキャスタブルやショットクリート法のような新技術が開発されてきた。また使用後 耐火物のリサイクルのような環境対策技術も開発されてきている。従って、不定形耐火物の生産量は、耐火物総生産量の減少傾向に反して、安定している。

モーグル型浸漬ノズルの偏流防止効果

小形昌徳,中村真,井上慎祐

<要約>

浸漬ノズルの構造、特に内管形状は、モールド内の溶鋼流動への影響が非常に大きい。特に流量制御をスライドプレートで行う場合は浸漬ノズル内の溶鋼の 流れが偏り、その結果モールド内の溶鋼の流れも不均一になる。この不均一な流れが浸漬ノズル内のAl2O3閉塞を助長したり、モールド内で起きる種々の問題、鋳片 品質の劣化の主因となっている。当社は偏流を防止する為に、段差ノズルを開発し、1992年以来、数多くの連続鋳造機で実績を重ねてきた。

今回、段差ノズルの効果を高めるために、浸漬ノズルの内管に球状突起を配置した“モーグル”型浸漬ノズルを新たに開発した。水モデル実験結果と実機での使用結果 から、モーグル型浸漬ノズルが、モーグル内の偏流防止、鋳片品質向上に極めて大きな効果を、有することを確認した。

製品及び実績の紹介

環境対応型マッド材

影山達也,北村匡譜,田中大輔

<要約>

マッド材には、多くの割合でバインダーが含まれているため、バインダーの特性がマッド材の性能を大きく左右すると考えられる。本研究では、4種類のバイ ンダーを使用して、評価試験を行った。マッド材の特性をよく理解したうえで、状況に合わせて、バインダーを調整することにより、マッド材の性能を改良できる。

高耐用マッド材

堀田修三,原真也

<要約>

マッド材は高炉出銑の安定化に影響する耐火物である。当社の新マッド材は、品川白煉瓦の高度な技術力を背景に、開発され、客先において、よい性能を 示している。

高カーボン質樋材

北村匡譜,榎木清隆

<要約>

当社は、施工性とクリープ性を維持しつつ、カーボン含有量を増やすことにより耐食性、耐スポーリング性を向上した、新しいキャスタブルを開発した。

本開発品を実炉に、適用した結果、損傷速度は2/3に低減され、更に亀裂や剥離の発生も、大幅に抑制されるなど、良好な結果を得ることができた。

取鍋用緻密質流し込み材

佐々木久晴,森口真,若江智暁

<要約>

アルミナ・マグネシア質キャスタブルをベースとして、粒度構成の変更による緻密化と粒度構成一定での減水による緻密化の効果について検討を行った。

どちらの緻密化についても、一般物性と耐食性が向上する結果が得られた。これらの新しい緻密質流込材を、取鍋の湯当り部とマスブロックに、使用したところ、 高い耐用性を示し、鍋のライフ向上に寄与している。

転炉補修用速硬性焼付材

高倉雄一,佐々木久晴,小松原清行

<要約>

近年、転炉の補修工程は、転炉の操業において重要度を増してきている。しかし、補修時間の短縮が製鋼所における生産効率の向上のために、必要とされて きている。そこで、当社は、高性能な速硬性の焼付材を開発した。

鉄鋼用ランスパイプ

金重利彦,高倉雄一,若江智暁

<要約>

当社のランスパイプ技術は、多くの取引先から好評を得ている。ランスパイプは、芯金と耐火物との複合構造体である。本稿では、当社のランスパイプの、 設計と技術について、説明を行う。

耐スポーリング製に優れたSVプレートの開発

小形昌徳,森脇宏治,森井浩明

<要約>

SVプレートにおいて、耐スポーリング性を向上させ、亀裂を抑制することで、エッジ損傷に対しての欠損の抑制、面損傷の対しての剥がれ損傷の抑制に効果が あると考えられる。当社は、低膨張率並びに低弾性率の耐スポーリング性に優れたSVプレートを開発しました。本開発品を取鍋プレートにて使用した結果、

従来品に比べ、エッジ損傷が減少し、耐用も約1.5倍に向上した。

溶融シリカ質ノズルと超高粘度パウダーによる小断面モールドでの鋼の連続鋳造

飯田栄司,小形昌徳,尾本智昭

<要約>

小断面モールドによる鋼の連続鋳造において、カーボン含有ノズルを通じての、溶綱表面からの抜熱は鋳片品質と安定操業に影響を及ぼす。

溶綱シリカ質ノズルと超高粘土パウダーの併用は、ノズルの耐用性を損なうことなしに、モールド内溶鋼からの抜熱を抑えるのに有効である。

作業環境と性能を両立したホワイトパウダー

尾本智昭,岩本行正

<要約>

従来の粉末モールドパウダーは、黒色であった。当社は、カーボンブラックを無添加とすることで、白色の粉末状モールドパウダーを開発した。

この白色パウダーは、発塵を防止するのに有効である。しかも、あらゆるモールドパウダーに適用可能でかつ、黒色のモールドパウダーと同じ特性を示す。

薄板用パウダーVRPシリーズ

尾本智昭,新田浩二

<要約>

当社は、安定した連続鋳造操業と鋼品質の維持と、モールドパウダーの価格を下げるために、「VRP」シリーズを開発してきた。「VRP」シリーズの特性は、 低不純物、高い保温性、良好な溶融性である。このモールドパウダーは、Cao/Sio2が約1.2以下で、また粘度は低粘度から高粘度まで可能である。また、精度の 高い滓化調整が可能となる。

コークス炉熱間補修用煉瓦(HRS)の特徴と施工方法

森孝一郎,藤江博

<要約>

日本で稼働中の多くのコークス炉は、炉齢を重ねており、炭化室炉壁や窯口部は、かなり損傷が進行している。損傷部の補修による炉の延命技術は、非常に 重要である。そして、古いコークス炉の効果的な補修として、熱間差替え補修がある。当社では、熱間差替え補修に最適な特殊珪石れんが「HRS」を開発し、納入実績と 施工例を紹介する。

低熱伝道性れんが(ECONOS)の混銑車への適用

四竈浩之,吉田昌弘

<要約>

混銑車は、溶銑の運搬と貯蔵容器としての働きをする。一般的に、混銑車の内張り煉瓦として、不焼成のAl2O3-SiC-C煉瓦が使われる。しかし、この場合、 炭素の熱伝導率が高いために、混銑車内部の温度低下と鉄皮変形の問題が生じる。そこで当社は、「ECONOS」という低熱伝導率の炭素含有煉瓦を、開発した。

そして実炉での検証によって、耐久性を低下さすことなしに、鉄皮温度が下がることを証明した。

セメントキルン用低熱伝導マグネシア-スピネル質れんが

飯田栄司,小宅民淳

<要約>

当社が新しく開発したマグネシア-スピネル煉瓦は、鉄扉温度を、マグネシア-クロム煉瓦並に抑制可能な低熱伝導性な煉瓦である。この煉瓦は、ロータリー キルンの焼成帯や遷移帯に、通常使用されているマグネシア-スピネル煉瓦の代用として、昇温効率の改善と鉄皮温度の降下に対し、効果が期待できる。

カーボン電極焼成用高性能耐火物

中村良介,Mike Pauline

<要約>

オーストラリアで最も大きな煉瓦工場である、シナガワ リフラクトリーズ オーストラレーシアは、前身会社から通算して、過去40年間に渡りカーボン 電極焼成炉用煉瓦を供給してきた。本稿では、当社で行われている、耐火物に要求される厳しい品質仕様と品質管理について、簡単に紹介する。

構造解析技術による転炉絞り部ライニング構造の設計

内田茂樹

<要約>

転炉絞り部の構造は、絞り部ウエア煉瓦の脱落を防ぐため、水平積構造から傾斜積構造へと変化してきた。構造解析は、ライニング構造の検討に使われてきて おり、傾斜積で生じる煉瓦のより大きな隙間の問題点について、提示している。本稿では、多くの解析から引き出された、新しい傾斜積構造について、紹介する。

イソライト工業株式会社(製品紹介)

鈴木信一,中島幸次

<要約>

イソライト工業は、高温設備で使用される耐火断熱材の耐火断熱煉瓦とセラミックファイバーを製造している。耐火断熱煉瓦には、珪藻土から製造する低温 タイプのものから、粘土やアルミナから製造する高温タイプまで、いくつかのグレードが用意されていて、様々な工業炉で、耐火断熱材として使用されている。

セラミックファイバーは、溶融シリカやアルミナを溶融して製造される無機質高温耐火繊維である。セラミックファイバーは、1000度以上の高温に耐え、 耐火断熱材として使用される。本稿では、それらの特徴と用途について、説明する。

断熱用途以外のイソライト製品

木下康史,塩野浩史,鈴木秀尚

<要約>

イソライト工業は、35年以上にわたり、1000度以上の温度で使用できるセラミックファイバーとして、アルミナとシリカを主成分とした、耐火断熱材を 製造してきた。本稿では、耐火断熱目的以外の様々なセラミックファイバーの応用について説明する。

はさみで切れるセラミックス「セラテックス」

浅倉寛行,洗節男

<要約>

セラテックスは、はさみで切れる有効な耐火性パッキンである。それは、鉄鋼プラント、非鉄金属精錬所、化学プラント並びにごみ焼却場などで、パッキン、 膨張吸収目地材や被覆材として使用されている。

廃水処理用特殊集沈降剤SUKITOR(スキトール)

浅見肇

<要約>

SUKITORは、廃水処理のための、特殊凝集沈降剤である。粉末のまま、濁水に添加し、攪拌するだけで急速にフロックを形成させ、固体を分離することが できる。

高性能熱間観察装置

笹井洋一,奥原潤一郎

<要約>

大部分の耐火物内面状況は、熱間で観察装置によって検査される。観察プローブを炉に挿入して、直視観察かまたは、損傷画像によって、寿命を評価する。

しかし、一般的な熱間観察プローブでは、800度を超える環境では、正確なイメージはつかめない。そこで我々は、様々な特殊光学フィルターの組み合わせの技術を、 調査することで、800度から1300度の間で、効果的なフィルターの組み合わせを見出した。

大型ジルコニア超高温炉

笹井洋一

<要約>

この研究により、ジルコニア発熱体を利用した超高温炉を作成することができた。我々は、酸素雰囲気での超高温を達成するため、円筒形ジルコニア発熱体、 予熱炉と制御システムを再設計し、研究と開発を最適に行うことで、新しく経済的な、大型ジルコニア超高温炉(ZRF-120)を開発した。本稿では、概要、仕様、 室温から2000℃までの繰り返し加熱による電気抵抗の変化と利用について説明する。

次世代LCD(液晶ディスプレー)製造用大型アルミナ商品

小坂正生,永塩久翁,小岸裕

<要約>

アテネオリンピックの影響から、大型フラットテレビ画面の需要は、いまだに広がっている。それによって、LC―TVやプラズマテレビのような大きなサイズの 画面への要望が、急速に増してきている。本体のガラス板のサイズは、効率的生産の観点から、大型化してきている。このことから、LCD製造装置に搭載される、 アルミナセラミックス部品の大きさも、急速に、大きくなってきている。この際限のない拡大への要望に対し、我社は、部分構造の新しい設計概念と金属合成を 採用し、低コストで信頼できる大きなサイズの製品を開発した。そして我々のオンリーワン商品は、迅速に市場に投入された。

アロフェンを活用した吸着剤の開発-昨日、今日、明日-

若杉勝廣,三星敏雄,南園広志

<要約>

天然アルミナシリカゲル(学名アフェロン)は興味深い吸着特性をもつ鉱物である。

我社は、原材料としての栃木県真岡地区から採掘するアロフェンから様々な吸着製品を製造、販売している。本稿では、アロフェンの特性を検討し、アロフェンを 役立てる製品の歴史的な概要を紹介する。さらに今後の開発についても取り上げる。

ランプ用無機耐熱遮光塗料「セラフィーコートシリーズ」

井神和生

<要約>

新しいランプ用無機耐熱遮光塗料であるセラフィーコートシリーズは、低温での硬化性能や塗装の際の作業性にすぐれた特性を有している。